手足が不自由ながら筆を口でくわえて草花などを描く詩画作家、星野富弘さん(群馬県在住)の作品を集めた特別展「花の詩画展-かけがえのない日常を見つめて-」(福井新聞社後援)が、福井県の福井市橘曙覧記念文学館で開かれている。繊細なタッチで描いたネコやコスモスなど動植物の絵に、優しい視点で日常を表現した詩を添えた25点が並ぶ。11月20日まで。
幕末福井の歌人、橘曙覧の生誕210年を記念し同館が企画。「独楽吟」を詠んだ曙覧と同じように、日常を多様な角度から見つめ、気付きを描いている星野さんに焦点を当てた。
星野さんは中学教諭だった1970年、クラブ活動の指導中に頸髄(けいずい)を損傷し手足の自由を失った。入院中に筆を口にくわえて絵や文字を書き始めた。
展示では水彩やリトグラフなどの、初期作から近作までを披露。「苺(いちご)」という漢字に「母」が入っていることに着目した作品は、色づく果実と花をみずみずしく描写。「遠い昔の人よ あなたにも優しいお母さんがいたのでしょうね」と思いをはせつつ、今の子どもたちも苺と母が大好きだと書きつづっている。館内には詩画集も10冊以上展示してあり、星野さんの歩みを知ることができる。
午前9時~午後5時15分。観覧料は300円。問い合わせは同館=電話0776(35)1110。