国宝の茶室「待庵(たいあん)」(京都府)の古い屋根材を加工した道具を使う「喫茶の集い」が19日、松本市深志3の全久院で開かれた。社寺の伐採木や廃材から茶道具を作るプロジェクトを展開している団体が主催。屋根材に木曽地域産が用いられていることから、信州で活動をPRしようと企画した。
待庵は茶人の千利休が建てたとされる。集いでは、屋根材を加工したお盆やコーヒードリップ用の台などを使用。参加者は「昔を思うことができ、ゆったりとした時間を過ごせた」などと話した。
プロジェクトは、京都府の茶道具メーカー「高野竹工」が核となり、東京のデザイン会社などが参加。古材を茶道具に生まれ変わらせ、収益の一部を社寺や加工職人に還元する仕組みづくりを進めている。高野竹工の企画営業部長西田隼人さん(46)は「社寺や伝統技術の保全につなげたい」と話した。
この日は西田さんと木曽漆器職人の小坂玲央さん(42)=塩尻市木曽平沢、松本市里山辺の工芸デザイナー井出八州さん(40)らによる「民の工芸」と題したトークイベントもあった。