昨年10月に開館した福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館の記念特別展第2弾「東山文化と朝倉文化」が3月1日、福井市の同館で開幕した。朝倉氏が当時最高峰の京文化を吸収し、越前で発展させていったことを、重要文化財約40点を含む資料約80点で紹介している。5月7日まで。
東山文化は、室町幕府の8代将軍足利義政が築いた慈照寺銀閣を象徴に、武家、公家、禅僧の文化が融合した。朝倉氏の初代孝景、2代氏景、3代貞景の京都での足跡を示す資料は多く、今回は貞景が絵師に洛中の屏風(びょうぶ)図を描かせたことが分かる公家の日記「実隆公記」(東京大学史料編纂所蔵)を展示。実物は確認されていないが、日本初の洛中洛外図だった可能性があるという。
貞景が京都の清水寺に寄進し、江戸時代に焼失した法華三昧(さんまい)堂が描かれた東山名所図屏風(国立歴史民俗博物館蔵)も紹介され、往事の姿が確認できる。
朝倉氏遺跡では、東山文化で重視された唐物(からもの)と呼ばれる中国産の陶磁器や工芸品が多数出土しており、その一部も展示。古くから越前で生産され、朝倉氏の下で発展した漆器の出土品も並んでいる。鯖江市河和田地区の職人が復元した漆器を並べ、朝倉氏の5代義景と将軍足利義昭の宴を再現したコーナーもある。
3月31日、4月21日は展示替えのために特別展は休み。一般1200円、70歳以上700円、高校生800円、小中学生500円。