軽井沢町の町立国保軽井沢病院を、多摩美術大(東京)の学生らの作品が彩っている。昨年、同大で講義をした稲葉俊郎院長(44)が、「いのちの居場所」「対話を生む空間」をテーマに病院で作品を飾ってみようと提案。多様な作品を待合室や相談室、階段などに展示している。
制作は生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻の3年生が中心。ポリエステルのメッシュ生地を円形に切り抜くなどして、自然光が降り注ぐ天窓の周囲に垂らした作品は、青や白の色彩で統一感があり、見る人に深海といったイメージを膨らませる。
見学した和光環(たまき)さん(49)=軽井沢町=は「張り紙だけの壁面だとじっと待つだけの息苦しさを感じるが、こんなにも豊かな空間になるんですね」。稲葉院長は「新型コロナ下で発表機会が限られた学生に表現してもらおうと考えた。『これ何だろうね』と来院者の対話を生み出すよう、あえて抽象度の高い作品を求めた」と話している。展示は31日まで。