作品の前に立つ岩本宇司さん。「意識と無意識の中間領域」は、コンテンポラリーダンサーとして活躍する次女の亜樹さんの言葉にヒントを得たという=福井県福井市松本1丁目のギャラリーサライ

作品の前に立つ岩本宇司さん。「意識と無意識の中間領域」は、コンテンポラリーダンサーとして活躍する次女の亜樹さんの言葉にヒントを得たという=福井県福井市松本1丁目のギャラリーサライ

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筆の赴くまま「踊る墨絵」...現代美術作家・岩本宇司さんが個展 福井市で3月15日まで

福井新聞(2023年3月8日)

 福井県福井市の現代美術作家、岩本宇司(たかし)さん(66)の個展が3月15日まで、同市松本1丁目のギャラリーサライで開かれている。テーマは「意識と無意識の中間領域」。筆の赴くまま越前和紙に墨で描いたオートマチックドローイング9点が並ぶ。

 彫刻や絵画、写真など幅広いジャンルを手がけてきた岩本さん。最近の関心事が「曲線と面が織りなす形の面白さをモノクロで描き出すこと」。

 漆黒の空に昇る竜、透明な水面に滴り黒の波紋をつくる墨汁、曇天にはためく黒い帯。墨の濃淡と余白が作品に奥行きとコントラストを生み、作品ごとにさまざまなイメージが膨らむ。

 前衛書を思わせる仕上がりだが「書というより墨絵。何日もかけて塗り重ね、時には水で洗い流して塗り直す」。完全なる無意識とまでは言わないまでも、その時々の気持ちに正直に筆を走らせる過程は「コンテンポラリーダンスに近い」。

 和紙の上で筆跡はいろいろな表情を見せる。削るごとに木肌が表情を変える彫刻や、歩いた分だけ変化していく風景を写真に収めるストリートスナップとも共通点を感じるという。

 木炭紙に描いたドローイングや細い鉄の棒を加工した立体作品、削ったこぶし大の木塊をキャンバスに貼ったレリーフも並ぶ。

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