改修が終わった石川県卯辰山相撲場。新緑に囲まれ、青を基調とした新たな観客席が目を引く=金沢市末広町(ドローンで撮影)

改修が終わった石川県卯辰山相撲場。新緑に囲まれ、青を基調とした新たな観客席が目を引く=金沢市末広町(ドローンで撮影)

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高校相撲の「聖地」一新  金沢・卯辰山、改修が完了

北國新聞(2023年5月12日)

 伝統の高校相撲金沢大会(北國新聞社主催)の舞台である金沢市の石川県卯辰山相撲場の大規模改修が完了した。コンクリート製の観客席は青を基調としたベンチに変更し、車椅子の専用席を新設、役員席も新たなデザインで生まれ変わった。11日は北國新聞創刊130年記念・第107回大会の組み合わせが決定し、21日のこけら落としの熱闘を待つばかりとなった。

 県卯辰山相撲場は1961(昭和36)年の土俵完成から60年が経過し、老朽化が目立っていた。コンクリートがむき出しだった観客席は耐久性と衝撃性に優れた高密度ポリエチレン製のベンチ(約7千席)に統一し、前後の座席間隔を広げた。すり鉢状の客席最上部には車椅子専用席を新設。役員席は天井に県産スギ、壁面に能登ヒバを使用し、臨場感を楽しめる「窓なし仕様」をそのままにしてブラインドを設置した。

 練習用土俵に隣接する選手の控えスペースは未舗装だったが、透水性の高い舗装を施し、足洗い場も2カ所に増設した。県は工事費として2億9500万円を予算計上し、昨夏に着工、4月末に全ての工程を終えた。

 高校のスポーツ大会で国内最古の歴史を持つ高校相撲金沢大会は1915(大正4)年6月に金石海浜で第1回大会が開催された。兼六園球場など会場の変遷を経て、61年から県卯辰山相撲場に移り、「聖地」として幾多の名勝負を生んだ。

 元横綱・輪島(金沢高OB、第48回大会個人準優勝)が引退後「卯辰山で優勝を逃したことが相撲人生の後悔の一つ」と語るなど高校生憧れの大会で、元大関出島(金市工高OB、第75回大会個人優勝)、幕内の遠藤(金沢学院大附高OB、第92回大会個人・団体優勝)や十両の炎鵬(同、第96回大会個人3位)ら多くの力士を輩出してきた。

 県内の相撲関係者は新緑に青が映える「聖地」の新たな姿に心躍らせている。一般社団法人県相撲連盟の寺下冨士夫理事長は石川水産高2年だった74(昭和49)年の第58回大会で団体優勝を経験しており「伝統継承の思いが強くなった」と語った。

 金市工高相撲部の角谷直良監督は「音楽フェスティバルにでも使えそうな素晴らしい環境」と絶賛し、金沢学院大附高相撲部の徳田哲雄監督は「選手の気持ちは高ぶるはず」と例年以上の熱戦を期待した。

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