越前和紙の紙漉きを詩情豊かに描いた日本画が並ぶ冨田溪仙展=12日、福井市の県立美術館

越前和紙の紙漉きを詩情豊かに描いた日本画が並ぶ冨田溪仙展=12日、福井市の県立美術館

福井県 福井・永平寺 その他

越前の紙漉き、詩情豊かに 日本画、冨田溪仙展が開幕

福井新聞(2023年5月15日)

 大正から昭和初期に活躍した日本画家、冨田溪仙(1879~1936年)の代表作が並ぶ企画展「冨田溪仙 越前の紙漉(す)きを描く」(福井新聞社後援)が5月12日、福井県福井市の県立美術館で始まった。越前和紙職人と交流し、日本画紙としての和紙普及に貢献した溪仙の先見性に触れることができる。

 溪仙は福岡に生まれ、18歳で京都四条派に入門。文展での初入選作が横山大観の目に留まり、再興日本美術院にスカウトされた。

 絹に描くのが常識だった当時、いち早く和紙の可能性に着目。日本画紙開発に挑んでいた越前和紙職人の初代岩野平三郎(1878~1960年)と縁を深め、画家仲間に積極的に越前和紙を薦めた。

 企画展には73点が並ぶ。文展初入選の出世作「鵜舟」は、川に小舟を浮かべて暮らす人々の姿を穏やかな筆致で描いた墨絵の傑作。岩野平三郎を訪ねて和紙製造現場を取材した作品群は、作業工程を忠実に写生したものから、紙を漉く女性の周囲に花々を配して雅(みやび)を演出した屏風(びょうぶ)絵まで幅広いラインアップ。

 会期は6月11日まで。展覧会図録を兼ねた美術本「冨田溪仙 越前の紙漉きを描く」(福井新聞社刊)を県立美術館と県内主要書店、福井新聞本社・支社支局で販売中。

えきねっと びゅう国内ツアー

福井・永平寺 ニュース