泉谷市長(左端)から奥能登国際芸術祭について説明を受ける東南旅行社の関係者=2日、珠洲市内(石川県提供)

泉谷市長(左端)から奥能登国際芸術祭について説明を受ける東南旅行社の関係者=2日、珠洲市内(石川県提供)

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台湾から観光視察続々  芸術祭や鉄道の旅に関心

北國新聞(2023年6月6日)

  ●訪日客、県内最多の「お得意様」

 台湾から石川県内観光地への視察が相次いでいる。6月に入って現地最大の旅行代理店やガイド本出版社の関係者が訪れ、7月には県がSNS(交流サイト)で発信力のある人らを招く。コロナ禍以前に続き、昨秋に入国規制が緩和されて以降も、台湾からの入り込みは国・地域別で最も多い「お得意様」。県は小松―台北便のさらなる復調も見込んで誘客攻勢を掛ける。

  ●旅行代理店や出版社「能登お薦め」

 台湾最大の旅行代理店「東南旅行社」の関係者が今月2、3日、県内各地を視察した。1番の目当ては珠洲市で9~11月に開催される奥能登国際芸術祭(北國新聞社特別協力)。一行は民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」など作品の展示会場を見て回り、泉谷満寿裕市長からも説明を聞いた。

 4月に馳浩知事が台湾を訪れた際、同社側が芸術祭を組み込んだ旅行商品を造成する方針を伝えていた。視察では道の駅「すず塩田村」などの観光スポットや飲食、宿泊施設、体験素材なども確認した。

 案内役を務めた県の担当者によると、同社には日本の地方の自然豊かな風景を楽しむツアーを作る狙いもあり、能登はその意味でも最適だと評価された。5月の奥能登地震に関しては「被害が限定的で旅行には影響がない」との認識だったという。

 5日には、台湾で6万部を発行する訪日旅行ガイドブックの出版社が金沢港クルーズターミナルなどを見て回った。のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」の旅も満喫した編集者の呂宛霖(ろわんりん)さん(39)は「台湾では日本の観光列車が人気であり、能登の旅をお薦めできる」と話した。

 7月4日からは県が、インターネットやSNSで人気のブログ執筆者らを招く。1年のうち観光需要が落ちる夏場の来訪増を期待して魅力を伝える。

 訪日外国人客は昨年10月に入国規制が大幅緩和されて以降、増えている。県内の訪日客数の指標となる兼六園の外国人入園者数は、今年1~5月が計15万8425人。国・地域別では台湾が最多の4万5679人と全体の3分の1近くを占め、次点の米国の1万8233人に大差を付けた。

 コロナ禍以前も石川を訪れる外国人客のトップを走っていた台湾。1~3月は3千~5千人だったが、エバー航空が小松―台北便の運航を再開した4月は1万6334人、5月は1万6048人と一気に増えた。ただ、中部国際空港(愛知県)などの国際便の回復が遅く、コロナ禍前の2019年と比較すると1~5月は53%にとどまる。

 県は小松―台北便が7月から週9便運航に増えることや、他空港の回復を見据えて台湾からの誘客を一層進めたい考えだ。

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