禁酒物語の冊子を紹介する津幡町国際交流員のデイビスさん=同町役場

禁酒物語の冊子を紹介する津幡町国際交流員のデイビスさん=同町役場

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「禁酒村」を世界に発信 津幡町教委、5カ国版の冊子作成

北國新聞(2023年6月7日)

 大正末期に村人がこぞって禁酒し、小学校を建て直す費用を捻出したことから「禁酒村」と呼ばれた津幡町河合谷地区(旧河合谷村)の歴史を世界に発信しようと、同町教委は、5カ国語版の冊子を作成した。2008年に閉校した旧河合谷小の跡地に立つ宿泊交流体験施設「河愛(かわい)の里キンシューレ」も紹介しており、町教委の担当者は「海外から視察に来てもらい、新たな交流が芽生えたらうれしい」と期待している。  

 冊子は、旧河合谷小の卒業生有志が2016年に作った紙芝居「禁酒物語」を一部手直しして全12枚の絵と文を収録した。日本語と英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語版を作り、津幡町国際交流員のフレンチ・デイビスさん(26)=米国出身=が英語版を担当したほか、フランス語は金沢市国際交流課、ドイツ語はかほく市教委が翻訳に協力した。

 物語の中には、地方紙(北國新聞)が最初に記事を掲載したことがきっかけで国内外に「禁酒村」が知られ、各国から激励や寄付金が寄せられたことも描かれている。デイビスさんは「素晴らしい活動。支援が世界に広がったことを知って感動した」と語った。

  ●G7会合で反響

 紙芝居を各地で披露してきた有志の「河合谷『禁酒の学校』を語り継ぐ会」などは、5月に開かれたG7(先進7カ国)富山・金沢教育相会合の金沢会場で上演することを県に要望していたが、会議時間や警備上の都合から実現せず、代わりに冊子が会場に置かれた。計147冊のうち、各国の教育関係者が83冊を持ち帰ったという。町教委は「村人たちの教育熱は現代でも心を打つはず。海外でも関心を持つ人が増えてほしい」と話した。

 ★禁酒村 旧羽咋郡河合谷村で1926(大正15)年、旧河合谷小校舎の改築費4万5千円(現在の3億5千万円)をためるため、村長が各戸に禁酒と毎日5銭以上の積み立て(飲んだつもり貯金)を提案。当時の村全体の酒代は年9千円で、改築費は5年でためられると計算された。貯金活動は5年ごとに更新され、太平洋戦争が起こる1941年まで続いた。

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