福井県敦賀市の気比神宮境内にある市指定天然記念物のユーカリの巨樹が、2度の台風被害に遭いながらも、昨年6月に終えた保護処理後、樹勢を取り戻し、若葉が芽吹くなどしている。新型コロナウイルスの5類移行により増えつつある参拝客が長寿にあやかろうと、お参りをしたり、記念写真を撮ったりしている。
ユーカリは1936年、当時の陸軍関係者が武運長久を祈願して植え、今年で87年が経過する。寒冷地で育つのは珍しいとされ、83年に市が天然記念物に指定した。高さは10メートルを超えていた。
2017年10月に南側、翌18年8月には北側の大枝がともに台風被害によって折れた。2度目の大枝は長さ7メートルほどで、周囲にあった梅の木を倒すほどだったという。
昨年の保護処理は、18年の被害直後に続き2度目となり、樹木医の指導によって太陽の当たらない北側の腐朽した部分を取り除き、殺菌剤を散布し保護剤を塗った。折れた部分には保護ラバーをかぶせた。今年の春は若葉が芽吹き、枝も少し太くなったという。
桑原宏明宮司は「台風の後、樹勢の衰えを感じていたが、今は葉が茂り、木が育っているようだ」と目を細める。「長命水」の名称で親しまれている境内の地下水を引き合いに、「神域の水の恵みを得て再生する姿に自然界の生命力を感じる」と話している。