客待ちするタクシー。26日に新たな運賃が適用される=金沢駅

客待ちするタクシー。26日に新たな運賃が適用される=金沢駅

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初乗り8割超が上限600円  石川のタクシー

北國新聞(2023年6月22日)

 ●26日運賃改定 下限550円は2社

 石川県内のタクシー運賃が実質値上げされる26日を前に、県内各社の新運賃体系がほぼ出そろった。北陸信越運輸局に届け出た52社のうち、普通車の初乗り料金の価格幅(550~600円)では86%に当たる45社が上限額600円を選んだ。下限の550円は2社だった。現行比で初乗り運賃は安くなる一方、移動距離が長いほど値上がりする仕組み。各社は燃料高騰対策や従業員の待遇改善につながるとして、値上げ効果に期待を込める。

 北陸信越運輸局によると、現行の小型タクシーの初乗り運賃は各社が650~700円の価格幅から選んでいる。

 金沢、かほく、野々市、津幡、内灘の5市町と、白山市の松任、美川、鶴来の3地区が含まれる「金沢地区」は全32社のうち27社が上限の600円を選んだ。下限の550円は1社で、残る4社は570円とする。現行は20社が上限を選んでいる。

 能登や加賀を範囲とする「石川地区」では届け出を終えた20社中18社が上限を、1社が下限をそれぞれ選択した。

 北陸さくら交通(金沢市)や石川グリーンタクシー(同)は低価格帯から上限いっぱいに切り替える。北陸さくら交通の森川淳一社長は「値上げで一時的に客は減るかもしれないが、タクシーが必要な人は多い。従業員の給料を上げ、魅力ある職場としてまずは人手を確保したい」と話した。

 大手の大和タクシー、石川交通(いずれも金沢市)は現行に引き続き、26日からも上限額で運行する。

 金沢地区の個人タクシーは普通車を運行する187事業者のうち、下限を選んだ1事業者を除く、186事業者が上限を選んだ。金沢個人タクシー協同組合の野谷実理事長は「今回の改定を機に、組合内での価格をほぼ統一できた」と語る。

  ●下限も迎車代導入

 一方、プロタクシー(同)は下限の550円で運行する。600円に設定すると、平均価格が現状の3、4割増の計算となり、「客の負担が大きい」(担当者)という。

 初乗り料金を下限とする一方、これまで無料だった迎車料金を150円もらい、時間指定は100円の追加料金を導入する。同社は電話で注文を受けるケースが多く、担当者は「これで十分採算は取れる。流し営業では、初乗り代が一番安いという印象も与えられる」と説明した。

 初乗り料金の最大50円の価格差がどこまで売り上げに影響するか。各社は客離れを防ぐためにも、運賃設定に丁寧な説明が求められそうだ。

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