室町時代に野々市の土地に館を構えた加賀国守護の富樫氏を「GPSアート」で描くランニングイベントが25日、石川県野々市市で行われる。富樫氏は北國新聞で連載中の「『百姓ノ持(もち)タル国』の百年」で取り上げられている。イベントは国民文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」の応援事業として行われ、市は富樫氏への関心が高まっている中、野々市の歴史に興味を持ってもらう好機としている。
GPSアートは衛星利用測位システム(GPS)の位置情報の軌跡を絵としてスマートフォンの地図などの画面に描く。
参加者は当日午前8時に市役所を出発し、富樫氏が建てたと伝わる布市神社や守護所を置いた富樫館跡、富樫像など市内の名所12カ所(計約10キロ)を巡りながら富樫氏の顔をイメージした「地上絵」を描く。
市はこれまで富樫氏について、講演会や冊子などで発信をしてきた。今回はGPSアートを利用して、若い世代にもアピールする。
主催する「ほくりくGPSアート部」代表の石川基さん(51)はコースについて「烏帽子(えぼし)も描き、富樫氏にまつわる場所を巡るコースに仕上がった」と話した。
★富樫氏 1335年、富樫高家(たかいえ)が鎌倉幕府倒幕の戦功で足利尊氏から加賀国守護に任命された。野々市に守護所を置き、以降、一族が加賀国の政務を執り行った。1441年、教家(のりいえ)が失脚したことを発端に兄弟の争いが起き、内紛が続いた。1488年、一向一揆によって政親(まさちか)が討たれた後、勢力が衰え滅亡した。