展示される木製リトプレス機=金沢湯涌創作の森

展示される木製リトプレス機=金沢湯涌創作の森

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ピカソ通った仏工房で使用  19世紀の木製プレス機  金沢で展示

北國新聞(2023年7月6日)

  ●10日から

 ピカソやシャガールが通ったフランス・パリの版画工房で使われた19世紀半ば製造の木製リトプレス機(印刷機)が10日から金沢市役所第2本庁舎に展示される。金沢湯涌創作の森(北袋町)の20周年の記念事業となる。印刷や版画の歴史を伝え、興味を持ってもらうきっかけにする。

 木製プレス機はマティスやピカソ、シャガールら画家も出入りしたパリのムルロ印刷工房にあった。1973年に訪れた益田祐作氏が、東京に創設したリトグラフ版画工房「アトリエMMG」に輸入した。工房閉鎖に伴い宇都宮美術館(宇都宮市)に移し、昨年9月に湯涌創作の森の版画工房に運んだ。

 益田氏が所有したプレス機は木製、鉄製6台で、木製1台は2008年に金沢美大に寄贈された。長年、授業で使っている神谷佳男名誉教授(66)は「かつては情報を早く正確に伝える『民主化のシンボル』だった。歴史の流れに思いをはせてほしい」と話した。

 展示される木製リトプレス機は全長211センチ、幅78センチ、高さ73センチで、石灰石の上に油性クレヨンで描いたものを紙に刷れる。製造当時の19世紀としては画期的な技術で、産業革命で機械化が進んで以降も少数部数の印刷、試し刷りに用いられた。

 湯涌創作の森は10月7、8日、神谷氏を講師に招いて木製リトプレス機を使ったワークショップを開く。酒井信幸所長(64)は「版画の愛好者を増やすきっかけにしたい」と話した。

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