漱石の手紙が加わった常設展示=金沢ふるさと偉人館

漱石の手紙が加わった常設展示=金沢ふるさと偉人館

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漱石、英世の手紙初公開  金沢ふるさと偉人館 開館30年、15年ぶり展示刷新

北國新聞(2023年7月19日)

 金沢ふるさと偉人館は開館30年を記念し、郷土の偉人38人を紹介する常設展示を15年ぶりにリニューアルする。文豪の夏目漱石が国文学者藤岡作太郎に、細菌学者野口英世が世界的化学者である高峰譲吉にそれぞれ宛てた手紙など、未公開の資料を充実させる。19日から各コーナーで紹介し、郷土の偉人の足跡を広く伝える。

 常設展示の内容を刷新するのは、紹介する偉人の数を8人から17人とした2008年の開館15周年以来となる。偉人数は年々増やしており、30周年の今年は4月に33人から5人増の38人に。19日からは初公開の資料を盛り込み、内容も拡充することにした。

 新たな展示の目玉となる漱石の手紙は、作太郎コーナーで紹介する。長女を病気で亡くした作太郎を漱石が慰める内容で、子どもの病気は「自分の病気よりはるかに心配」「(小説の)傑作はできなくてもいいから、早く全快してくれればよい」とつづられており、父親としての漱石像が浮かぶ。

 英世の手紙は、日本の研究所(理化学研究所)にドイツ人研究者を紹介することについて理研設立提唱者の高峰に意見を求める内容で、タイプライターで記された写しが伝わっている。当時2人はともにアメリカにおり、高峰が海外からも日本の化学界に影響を与えていたことがうかがえる。

 このほか、細野燕台のコーナーには、画家で女優朝丘雪路さんの父としても知られる伊東深水が描いた肖像画「酔燕台翁」の下絵を並べる。放射化学の父、化学者飯盛里安が人造宝石のためにしたためた研究ノート7冊や漆聖・松田権六の直筆色紙なども加わる。増山仁副館長は「30年の節目に、より充実した展示となった。郷土の偉人に合いに来てほしい」と話した。

  ●8月5日から木村栄展

 金沢ふるさと偉人館は8月5日から特別展「天地人―木村栄がつなぐ天文学」(北國新聞社後援)を開く。木村を中心に、藩政期から現代までの天文学の歩みを紹介する。

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