福井の幕末の歌人・橘曙覧の肖像画を集めた企画展が、福井県福井市の市橘曙覧記念文学館で開かれている。生前に描かれた唯一の肖像画をはじめ、後世に伝聞や記憶を基にしたもの、どことなく曙覧を思い起こさせる子孫の写真など26点が並ぶ。9月3日まで。
さまざまな肖像画を通して曙覧の姿や人柄に思いをはせ、より理解を深めてもらおうと企画した。
肖像画の曙覧の顔は、鼻や耳が大きく、切れ長の目など共通点が多く、特徴を表していると考えられる。1868年の正月、曙覧と親交のあった越智通兄によって生前描かれた唯一の肖像画は鋭い眼光が印象的。左上には曙覧自筆の和歌が添えられている。曙覧の寺子屋に通い、読み書きを習った福井の画家・菱川師福が、生前の姿を思い出して描いた作品も並ぶ。
会場には子孫の写真も展示した。三男・早成の写真はガラス板に撮影されている貴重な1点。曙覧によく似ていると子孫の間で語られてきた孫の女性の写真もある。肖像画と比較しながら、曙覧の雰囲気を探ることができる。
現代に描かれたイラストは、親しみやすさを感じさせる。曙覧の書いた掛け軸や手紙も並べており、展示の担当者は「筆跡と合わせて人物像を思い描いてほしい」と話していた。
観覧料は100円。8月13日の午後2時からギャラリートークがある。