陰陽道の伝統行事「名越祓(なごしのはら)い・八朔祈祷(はっさくきとう)祭」が8月1日、福井県おおい町名田庄納田終の土御門殿天社宮で営まれた。厳かな雰囲気の中、神職が布を手で引き裂いたり、弓の弦を鳴らしたりして疫病退散を祈った。
1年の折り返しに心身の汚れをはらう神事として、天社土御門神道本庁が毎年8月1日に行っている。地元住民や関係者ら約80人が参列した。
午前11時ごろ、白装束姿の神職らがほら貝の音とともに同宮に入場。青龍、白虎、朱雀、玄武の名が書かれた4色の鳥居に囲まれた石壇の上で神事を執り行った。
神職が五色の紙をまく「撒紙撒供(さんしさんぐ)」、白や赤、黄色の布の両端を持ち引き裂く「八つ裂行儀」などで魔や汚れをはらった。「破魔弓鳴弦ノ儀」奉納では、土御門史跡保存会の男性が玄武と朱雀の鳥居に向かい「おーっ」と掛け声を上げ、空と地面に3回ずつ弦を引き天と地の悪を鎮めた。
参列者は神事を静かに見守りつつ、長さ数十センチほどの縄を口でほどく「解け縄行儀」や茅(ち)の輪くぐりを行い健康長寿を祈っていた。
庁長は「(参列者が)1年の残り後半を穏やかに過ごせるように祈っている」と話していた。