明治期の鉄道の開業式を描いた図や文書資料などが並ぶ展示=8月29日、福井県福井市立郷土歴史博物館

明治期の鉄道の開業式を描いた図や文書資料などが並ぶ展示=8月29日、福井県福井市立郷土歴史博物館

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明治期に三重―福井―新潟 幻の東北鉄道 市立郷土歴博

福井新聞(2023年8月30日)

 明治期に三重から滋賀、福井など北陸を経由して新潟に至る路線が計画された幻の「東北鉄道」に焦点を当てた展示が、福井県福井市立郷土歴史博物館で開かれている。北陸を治めたかつての領主たちが発起人となり、鉄道敷設に向けまい進した過程を紹介している。旧福井藩主松平慶永(春嶽)の日記といった文書資料など38点が並ぶ。9月3日まで。

 北陸新幹線福井開業が来春に迫る中、明治期にも鉄道が福井へやって来るという期待感があった。研究により新たに分かった明治初期の鉄道事情などを知ってもらおうと企画した。

 越前や加賀などの旧領主らと東・西本願寺の法主が発起人となり1881年、東北鉄道の創立願を政府に提出した。太平洋側から日本海側を縦断し、旅客や産品の輸出増などに期待がかけられたが、政府から損益の計算が欠けているなどとして反対された。敷設を縮小する案が出されたが発起人が離脱するなどし、実現できずに終わった。

 展示では東北鉄道への出資を求める慶永自筆の演説書も紹介。鉄道開通で首都圏との流通が良くなり、輸出の増加が見込めることなど経済効果を強調している。慶永の鉄道への分析力を表す貴重な資料だという。このほか慶永も体験した、東京新橋-横浜間を往復した蒸気機関車を描いた図なども並んでいる。

 担当学芸員は北陸新幹線開業とリンクする部分もあるとし「鉄道路線を使いどう地域を発展させていくかということが大切。次のステップを見据えるきっかけを見いだしてもらえたら」と話していた。

 観覧料は220円。2日午前10時半から、学芸員によるギャラリートークもある。

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