●新幹線延伸へ誘客に活用
加賀市は来年度、同市塩屋町の国指定天然記念物「鹿島の森」の再整備に乗り出す。来年3月16日の北陸新幹線加賀温泉駅開業に向け、地域の魅力を高める取り組みで、老朽化したトイレや桟橋などの一体的な改修を進める。全国有数の生息規模を誇るアカテガニなど、貴重な動植物を観察できる豊かな自然環境をアピールし、近隣に今春オープンした道の駅との相乗効果で誘客につなげる。
14日、市民会館で開かれた市政懇談会で、宮元陸市長が施設改修に向けた協議を国、県と行っていると明らかにした。
鹿島の森は、大聖寺川河口に位置する陸地続きの周囲約600メートルの小島で、タブやスダジイなどの常緑広葉樹林が自生する。アカテガニやツルガマイマイなどが生息し、市内唯一の暖地性植物の原生林。1938(昭和13)年に国の天然記念物に指定された。
トイレなどの施設は68年に鹿島の森を含む沿岸部一帯が国定公園に指定された際に整備され、築年数が経過している。桟橋からは北潟湖が一望できるが、樹木の枝が桟橋上まで伸び、老朽化も進んでいることから、関係者以外立ち入り禁止となっている。
施設改修に当たっては、国定公園での作業になることから、市が国や県と事業化に向けた調整を進めている。整備事業は複数年度にまたがる可能性がある。
宮元市長は「国の許認可が必要な部分もあるが、市のできる箇所は積極的に取り組みたい」と述べた。
鹿島の森近くのあわら市吉崎では、4月に道の駅「蓮如の里あわら」が開業し、にぎわいを見せている。加賀市は鹿島の森の再整備で周遊観光を促進する。
市政懇談会では、旧大聖寺川に架かる松島橋周辺でのポケットパークの整備、旧三木保育園の駐車場の活用、北陸新幹線敦賀延伸を見据えた眺望点の確保などに関する意見も出た。