商談会で冷凍すしを売り込む芝寿しの関係者=昨年9月、米国(芝寿し提供)

商談会で冷凍すしを売り込む芝寿しの関係者=昨年9月、米国(芝寿し提供)

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冷凍すしに商機  北陸の食、販路拡大狙う 米輸出へ売り込みや新商品

北國新聞(2023年9月28日)

 すしどころの北陸で、冷凍すしの開発、販路拡大が進んでいる。芝寿し(金沢市)は本格的な輸出に向けて米国やシンガポールで売り込みを掛けており、回転ずし「金沢まいもん寿司」を展開するエムアンドケイ(同市)は独自の冷凍技術を使って新商品を開発した。冷凍すしは保存でき、解凍すると新鮮な状態で味わえるのが特長で、各社は北陸のすしを武器に商機を探っている。

 芝寿しは6月、冷凍すしの米国輸出に向け、梶谷真康社長らがロサンゼルスやシカゴの小売店、飲食店、ホテルに商品を売り込んだ。氷を輸出しているクラモト氷業(金沢市)の船便に混載して運んだ「笹寿し」や「棒ずし」を試食で提供したところ、「冷凍と思えない」などと好評だった。定期的な取引に向けて商談を進めている。

 芝寿しは10年ほど前から冷凍すしの開発を進め、主に国内向けのホテルや飲食店、家庭などに販路を広げてきた。

 昨年からは本格的な海外展開を見据え、米国やシンガポールの商談会に積極的に参加。冷凍すしのラインアップも増やしている。担当者は「すしの人気が高い米国で、大きな手応えがあった。高い品質をアピールしていく」と話した。将来的には現地での生産も目指す。

  ●課題は品質維持

 冷凍すしは、解凍した際に米から水分が抜け、ぼろぼろに崩れる「白蝋化(はくろうか)」が起こりやすいことが課題だった。海外では、冷凍米飯は解凍時に品質が落ちるイメージがあり、扱うのを敬遠する飲食店や小売店もあるという。

 エムアンドケイは、白蝋化が起こりやすいとされる冷蔵庫で解凍しても、米が崩れない冷凍技術を独自に開発。この技術で、スポーツ観戦しながら食べられるスティック型のすしを作った。各種スポーツ会場で販売する「スタジアムグルメ」として普及を目指す。

 機内食や輸出向けとしても展開する計画で、担当者は「さまざまなシーンで食べられる新しい形の商品としてアピールしたい」と語った。

  ●ますずしも冷凍で遠方へ

 富山名物のますずしも冷凍で販路が広がっている。

 源(富山市)は昨年10月、冷凍押し寿司「Rejyu(冷柔(れじゅう))」の販売を始めた。長方形で、具はマスやブリ、カニ、氷見牛のすき焼き、甘エビと卵の5種類がある。通常のますずしは賞味期限が2日間で、冷凍をすれば遠方に届けられる。2010年から冷凍のますずしを手掛ける「寿し工房大●(辻の一点しんにゅう)」(立山町)も、新たな商品開発を通じて海外展開を見据える。

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