来年3月16日の北陸新幹線県内開業を前に、福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡の魅力を発信するイベントが10月4日夜、東京駅に隣接する商業施設KITTE丸の内で開かれた。県から遺跡の「名誉お屋形さま」に委嘱されている落語家の春風亭昇太さんが「一乗谷は戦国時代の城下町と居館、山城がセットで残る奇跡的な場所」と、首都圏の歴史ファンにアピールした。
県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館の開館1周年を記念し県が企画。昇太さんが「お屋形さま」として東京で情報発信するのは初めてで、県朝倉氏遺跡研究協議会委員を務める滋賀県立大の中井均名誉教授と対談した。
中井名誉教授は朝倉氏遺跡の下城戸跡の巨石積みなど、朝倉氏の土木技術が県境を越えて伝わっているとし「朝倉氏は地味だが広範囲に影響力を持っていたすごい戦国大名。特に山城は畝状竪堀(うねじょうたてぼり)が特徴で、ぜひ現地で見てほしい」と呼びかけた。
昇太さんは戦国時代の越前若狭は経済と文化の両面で先進地だったとし、「中世の注目度は日本中の歴史博物館で増しているが、それをリードしたのが一乗谷の発掘。一般の人にも分かりやすく当時の町並みを復元し、新たに博物館もできた。注目のホットな場所だ」と来県を呼びかけた。
対談に先立ち昇太さんは、越前そばの味わいをまくらに古典落語「時そば」も披露。会場の約200人を沸かせた。