石川護国神社(金沢市石引4丁目)の第5回奉納泣き相撲金沢場所(北國新聞社後援)は8日、同神社で行われ、生後半年から2歳までの子ども82人が元気な泣き声を響かせた。今年は新型コロナウイルス感染予防のためのアクリル板が取り払われ、4年ぶりに通常のスタイルに戻った。家族や見物客は泣きじゃくる子どもたちに声援を送り、健やかな成長を願った。
子どもたちは赤と青のはっぴを着て東西に別れて出場した。名前をもじったしこ名で呼ばれると、親に抱かれて拝殿前の舞台へと「土俵入り」。行事に扮(ふん)した元テレビ金沢アナウンサーの塚田誉さんらが「ニコニコ泣くは万歳楽」と顔を近づけ、盛り上げた。
子どもの泣き方や様子を見て「泣きたおし」「泣き惜しみ」などと決まり手が告げられた。取組前から泣き続ける子や、相手と見つめ合って笑い出す子らの姿も見られ、愛らしい子どもたちに客席からは温かい声援が飛んだ。
能美市倉重町の自営業、神並大輝さん(33)の長女花ちゃん(1)は「花ノ富士」のしこ名で参加。開始早々に大きな泣き声を出して「泣きなげ」で勝利すると、大輝さんは「しっかり泣いてくれた。健康に育ってくれそう」と喜んだ。
泣き相撲を終えた子どもには子どもの手形が押され、しこ名が揮毫(きごう)された色紙が贈られた。境内ではのみの市も開かれ、雑貨や洋菓子などが並んだ。高井良直宮司は「英霊はふるさとのためにと命をなげうった。いつもは静かな境内に泣き声が響き、英霊もきっと喜んでいる」と目を細めた。
泣き相撲は若い世代に神社に親しんでもらおうと2018年に始まった。開始前には拝殿で健康祈願のおはらいが行われ、戊辰戦争以降の戦没者4万4929柱をまつっていることなどが説明された。泣き相撲はっけよい