トンボやチョウなど虫の意匠をあしらった茶道具を紹介する企画展が福井県福井市愛宕坂茶道美術館で開かれている。チョウの形をした器や螺鈿(らでん)細工の美しい香合など22点を展示している。11月26日まで。
縁起がいいとされる昆虫や植物などの文様は「吉祥文様」とされ、身近な道具や服装に施されてきた。トンボは決して後ろに進まないことから「勝虫(かちむし)」といわれ、チョウは卵から美しい成虫へと成長する様子から、不死不滅の象徴と扱われてきたという。
企画展では、キリギリスやトンボ、蜂がデザインされた香合が並ぶほか、カタツムリの絵が描かれた掛け軸もあり、虫づくしの展示となっている。秋草の絵をちりばめたふたの中央に「蜘蛛(くも)」と漢字で書かかれたユニークな香合もある。
担当者は「展示品に隠された虫を眺めて秋の訪れを感じ取ってもらえれば」と話していた。観覧料100円。11月12日の午後2時からギャラリートークがある。