●OEKスペシャルコンサート/恋愛喜劇「フィガロの結婚」
国民文化祭と2023ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭の連携事業で、文化祭リーディング事業の「音楽堂3days」(北國新聞社特別協力)は3日、金沢市の石川県立音楽堂で始まった。オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が恋愛喜劇を華やかに披露したほか、本紙でともにエッセーを執筆する広上淳一OEKアーティスティック・リーダーと池辺晋一郎音楽堂洋楽監督の対談が繰り広げられ、来場者は音楽づくしの秋を満喫した。
コンサートホールではOEKスペシャルコンサート「フィガロの結婚」が幕開けを飾った。OEKパーマネント・コンダクター(常任指揮者)の川瀬賢太郎さんがタクトを振り、観客はモーツァルトが手掛けたオペラの世界観に浸った。
声楽家でつくるモーツァルト・シンガーズ・ジャパンのメンバーが個性豊かな登場人物を熱演し、明朗な歌声でハーモニーを響かせた。OEKは多彩な喜怒哀楽の起伏を巧みに表現。
川瀬さんは権力や愛欲、嫉妬にまみれた目まぐるしい展開のストーリーを明るくまとめ上げた。オペラのせりふの掛け合いでは、登場人物の歌声に川瀬さんが歌声を合わせる一幕もあり、観客の笑いを誘った。
国民文化祭スペシャルアンバサダーを務める音楽堂邦楽監督の野村萬斎氏が構成、演出を手掛けた舞台「山月記・名人伝」は4日午後4時から、邦楽ホールで開演する。3日はリハーサルが行われ、出演者が本番に向け動きを確認した。
萬斎氏は「狂言の古典的な様式で表現し、現代にも通じる青年の苦悩を伝えたい」と意気込みを語った。