福井城のシンボルだった坤櫓(ひつじさるやぐら)の復元を検討している福井県は、県庁舎が立つ城址(じょうし)の南西角に櫓と同規模の骨組みを設置し、2日夜から発光ダイオード(LED)ライトによる点灯を始めた。骨組みが青と黄色の明かりに照らされ、お堀の水面に美しく映えた。
坤櫓は高さ約16メートル、幅約12メートルで、明治期まで本丸の南西角にそびえ立っていた。県は復元を目指し、6月補正予算に基本設計費を計上。坤櫓の大きさを県民に実感してもらい、復元に向けた機運を高めようと、福井工大生の協力を得て、光のイルミネーションを企画した。
石垣の上に設置した骨組みは、建築工事の足場に使われる単管でくみ上げ、高さは14・9メートル、幅7メートル。設置スペースや土台部分の安全性を考慮し、実際の櫓より一回り小さい。屋根に相当する部分は笏谷石の屋根瓦をイメージして青色、壁部分には黄色のLEDライトを設置した。
午後5時にライトが点灯されると、帰宅途中の会社員らが足を止め、スマホで写真を撮る姿が見られた。点灯式に参加した福井工大工学部建築土木工学科4年の片野楓太さんは「自分たちの提案を形にしてもらい、貴重な経験になった。駅周辺の活性化のため復元プロジェクトが進んでいくことを期待したい」と話していた。
ライト点灯は18日までの午後5時から同10時。4日午後0時半から市中央公園の南東にテントを設け、骨組みに取り付ける白い幕に手形を押してもらう催しを開く。