江戸時代に福井城下で催されていた「馬威し」を紹介する企画展=福井県福井市立郷土歴史博物館

江戸時代に福井城下で催されていた「馬威し」を紹介する企画展=福井県福井市立郷土歴史博物館

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奇祭「馬威し」の熱気、今に 絵巻や屏風 福井市郷土歴博

福井新聞(2024年1月12日)

 江戸時代に福井城下で催されていた正月行事「馬威(おど)し」を紹介する企画展が、福井県福井市立郷土歴史博物館で開かれている。福井藩松平家に伝わった絵巻や、藩主松平春嶽による随筆集など14点が並ぶ。武士と庶民が身分を越えて入り交じり、熱気に包まれた奇祭の様子を今に伝えている。1月28日まで。

 馬威しは馬で市中を走る武士の行く手を、町人や農民が銅鑼(どら)を鳴らすなどして妨害した行事。武士は福井城の桜門を出発し、300メートルほど先にある九十九橋北詰を目指した。福井藩士が燃えさかる左義長飾りの周囲を馬で乗り回したことが始まりで、それに庶民が馬を威す行為が加わったとされている。

 同館の印牧信明学芸員によると他の藩ではみられない行事で、馬術訓練のほか、身分的融和を図る目的もあった。廃藩置県以降も行われたが、明治期半ばには廃れたという。

 展示では、庶民と武士の間で繰り広げられる激しい攻防を描いた絵巻や屏風(びょうぶ)などが並ぶ。江戸後期に制作された「爆竹調馬之図絵」は縦約40センチ、横約5メートルの絵巻。沿道は見物客でごったがえし、建物の2階も埋め尽くされている。生き生きとした表情を浮かべる庶民の中に、奇抜な衣装を着込んで馬を威嚇する"名人"も描かれ、訪れた人の目を引いている。

 「馬威し図屏風」では、藩主松平春嶽とされる人物が観覧している様子がうかがえる。この日ばかりは無礼講で、普段は入れない福井城下で庶民と武士がぶつかり合う姿も見られる。このほか、馬威しで乗馬した武士の名簿もある。

 13日午後2時からギャラリートークがある。入館料は220円。

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