金沢市の金沢エムザ8階催事場で開催中の第49回北國花展「伝統と現代」(北國新聞社、石川県いけ花文化協会主催)は前期最終日の23日、作品解説が行われた。来場者は華道家の創意や花に込めた能登への思いに触れ、花の美で心を潤した。
作品解説は嵯峨御流が担当した。北陸司所長で、県いけ花文化協会副常務理事の村陽甫さんが流派について説明した。
歌会始のお題「和」から着想した華道家は、能登の復興を祈り、松の緑とランの黄色を調和よく生けたと語った。「不老長春」の文人花を生けた華道家は、松の伸びやかな枝に黄色のバラを組み合わせ、元日からふさぎがちな心に、明るい兆しがあることを願ったと解説した。
中能登町で被災し、断水の中で構想を練り、出品した華道家の作品について、同協会の西保淳甫専務理事は「松と古い木を取り合わせ、頑張っていこうという気持ちで、大ぶりに力強く生けてくれた。花展ができて、出品ができてよかったと話していた」と紹介した。
前期展は伝統様式花、現代自由花74点と大作10点の計84点が並び、訪れた人を和ませた。鑑賞に訪れた九谷焼作家の北村隆さんは「花に元気をだせと言われた気がした。地震で作品が割れて落ち込んでいたが、励まされた」と語った。
後期展は25日に始まる。作品解説は25日に池坊と古流柏葉会、26日に草月流が担当する。いずれも午後3時半から。会期は28日まで、入場料は700円(中学生以下は無料)。