福井県敦賀市の「謎の女流作家・紫式部と平安ジェンダー」と題した講演は1月28日、敦賀駅交流施設オルパークで開かれた。県歴史活用コーディネーターを務める後藤ひろみさんが紫式部と敦賀の深いつながりについて語った。
男女共同参画推進講座として企画。後藤さんは福井の偉人や郷土史などを調査研究し、歴史漫画の原作を多数執筆している。
講演では、敦賀との関係について「紫式部の父為時は漢学者で当時、宋から来た70人とコミュニケーションを取るため越前国司になった」と説明。「敦賀入りのときは、気比神宮にお参りをしている。式部が残した歌にある地名などからどのルートを使ったか考えてほしい」と歴史を楽しむこつも話した。
父為時が宋の人たちに詠んだ漢詩の中に「煙村外」「水館」の文字があるとし、為時が敦賀のどこで宋の人たちと会っていたかも考察。「煙が上がる村の外とは?」「水の館と書きたくなる場所は?」「松原客館も考えられる」などと思いを巡らせた。
紫式部の生きた平安時代を「女の教養は災いといわれていた」と指摘。その中で、「文学者としてやり遂げたことで素晴らしい物語ができた」と説明した。