新曲に合わせて能舞と日本舞踊で幽玄な世界を広げた出演者=県立音楽堂コンサートホール

新曲に合わせて能舞と日本舞踊で幽玄な世界を広げた出演者=県立音楽堂コンサートホール

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オケと能舞、幽玄な世界 OEK「和洋の響」で新曲披露 石川県立音楽堂

北國新聞(2024年2月14日)

 オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の「和洋の響Ⅳ 能舞とオーケストラ」(北國新聞社特別協力)は12日、石川県立音楽堂コンサートホールで開かれ、公募で選ばれた作曲家、山本菜摘さん(25)=東京=の楽曲「加賀・金沢~記憶の彼方(かなた)へ~箏とオーケストラのための」が初演された。能登半島地震で輪島と珠洲から2次避難している中高生21人が招待され、管弦楽と箏の音色に能舞と日本舞踊の演出が加わった幽玄な世界を堪能した。

 「和洋の響」は若手作曲家の発掘を目的に開催され、山本さんは伝統と革新が共存する金沢の街の印象を曲にした。仙台市出身の山本さんは小学6年の時に東日本大震災を経験。能登の被災地に心を寄せ、「ホッとしたり、明るくなったりと聴く方の気持ちに寄り添えるような音楽を目指していきたい」と語った。

 演奏では指揮者の垣内悠希さんがタクトを振り、箏曲家の日原暢子さんが凜(りん)とした調べを響かせた。

 日本神話「岩戸隠れ」から着想を得た能舞が披露され、観世流シテ方の鵜澤久さんが威厳を放つ天照大神(あまてらすおおみかみ)を演じ、日本舞踊家の藤間寿さんが天鈿女命(あめのうずめのみこと)に扮(ふん)して優美に舞い、神話になぞらえて能登に明るい光が差すように願った。

 シューベルトの劇付随音楽「ロザムンデ」も演奏され、美しい調べにメゾソプラノの前澤歌穂さんとOEK合唱団が歌声を添えた。

 金沢市内のホテルや白山市の少年自然の家などに2次避難している中高生の送迎に金沢龍谷高がバスを提供した。

  ●能登鎮魂の曲制作 池辺氏

 「和洋の響」を監修する作曲家で県立音楽堂洋楽監督の池辺晋一郎さんは12日、記者会見し、能登半島地震の鎮魂のため、OEKの新曲制作に取り組んでいると明かした。

 能登演劇堂を拠点とする劇団「無名塾」の音楽を創設時から担当する池辺さんは「地元といっていいほど大切な土地。自分に何ができるかを考えた時に作曲しかなかった」と話した。

 題名は「祈り、そして光」。5分以内の曲で、楽曲のスケッチはすでに書き上げた。公開日は未定。

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