1年間埋めておいた木の実などの芽立ち具合で今年1年の農産物の豊凶を占う「オイケモノ神事」が2月25日、福井県小浜市加茂の加茂神社で営まれた。掘り出した7種類の植物からは伸び伸びと根が生え、同区の竹中区長は「今年も豊作間違いなし」と宣言した。
神事は8世紀初頭から続くとされ、毎年旧暦の1月16日に行われる。2007年には国選択無形民俗文化財に指定された。
この日は氏子ら40人ほどが社務所に集まり、来年の神事に向け、トコロイモ、クリ、シイ、干し柿、ドングリ、カヤ、ギンナンの「物実(ものざね)」と「牛の舌」と呼ばれる平たい餅を縦約10センチ、横約20センチ、高さ約10センチの杉の箱に入れた。箱を持った行列が境内にある約300メートル離れた「上の宮」に移動。冷たい雨が降る中、道中では大蛇を追い払うために「うおお」と大声で叫んだり、蛇の目に見立てた的に弓を放ったりした。上の宮に到着すると、1年前に埋めた箱を掘り出し、新しい箱を埋めた。
社務所に戻り竹中区長らが箱に入った物実を取り出し、芽立ち具合を確認した。竹中区長が「冬の豪雪にも負けず、風雨にさらされながらも、この加茂の地に新たな根が伸びていることを確認した」などと述べると、氏子は拍手で喜んだ。