金ナノ粒子を用い、石川県観光PRマスコットキャラクター「ひゃくまんさん」を赤で表現した金箔(石川県工業試験場提供)

金ナノ粒子を用い、石川県観光PRマスコットキャラクター「ひゃくまんさん」を赤で表現した金箔(石川県工業試験場提供)

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金箔着色、石川県工試が新技術  光の反射で赤や緑に

北國新聞(2024年5月7日)

 石川県工業試験場は6日までに、極めて小さい金の粒子を用い、金箔(きんぱく)に赤や緑の色を付ける技術を開発した。金箔に着色する場合、従来は表面を塗装するため変色や劣化が生じやすかったが、新技術は光の反射を利用した加工で「赤や緑に見えるけれど金」という状態の純金だ。県工試では価値を落とさず、耐久性を持った新素材として、アクセサリーや建材への活用を見込み、国内生産量の99%を占める金沢箔の魅力アップを後押しする。

 県工業試験場によると、金箔に赤や緑の色を付ける新たな方法は、ナノメートル(1メートルの10億分の1)サイズで物質構造を制御して、新たな性質や機能を生じさせる技術を応用している。

 通常の金は、光の三原色のうち青を吸収して赤と緑を反射するため、黄色っぽく見えている。これに対し、金の「ナノ粒子」は緑を吸収し、赤のみを反射する性質を持つ。このナノ粒子を生かすことで色が変化して見えるという。

 例えば、金箔に「着色」したい部分に酸化チタンの粉末を塗り、金ナノ粒子の溶液に浸すとチタン部分が赤色に変わる。また、特殊な熱処理をした上で溶液に漬けると、その範囲が緑に見えるという。

 金箔への着色は従来、塗装材などを用いてきたが、色が変わったり、劣化しやすくなったりという課題があった。今回の技術は、光の反射による見え方を変化させているため、新商品を考案する上で付加価値やデザイン性の向上に役立つと期待される。

 業界では伝統工芸品の引き合いが伸び悩む一方、外国人観光客らの需要は大きく新商品開発の動きは強まっており、担当者は「新型コロナの影響が落ち着き、これからインバウンドの増加が見込まれる中、新たな着色技術で地元の金箔産業を盛り上げたい」と話した。

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