戦国時代の武士の元服式「加冠(かかん)の儀」を再現するイベントが5月18日、福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡で行われた。室町幕府15代将軍の足利義昭が一乗谷で成人の儀式に当たる元服に臨んだとの記録を基に、参加した約50人が伝統衣装に身を包んで当時の儀式を現代によみがえらせ、訪れた歴史ファンらを楽しませた。
県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(同市)が、26日まで開催している特別展「戦国大名朝倉氏武威の煌(きら)めき~馬駆ける戦国の庭」(福井新聞社後援)の関連行事として企画した。
同博物館によると、義昭は将軍となる前の1567年に一乗谷に身を寄せ、68年に5代当主朝倉義景が後見人となって元服。義昭が滞在していた御所から城下町を通って義景の館へ出向き、儀式に臨んだとの文献が残っているという。文献を踏まえた今回のイベントは、伝統儀式を研究する国学院大などと連携して当時の様子を再現した。
公募などで集まった義昭役の男女25人が、「衣冠」や「狩衣(かりぎぬ)」といった伝統の装束を身に着け、朝倉家家臣役の朝倉氏遺跡保存協会メンバーら約20人とともに御所跡近くの市一乗公民館前を出発。「復原町並」などを通り、朝倉館跡へ向かった。同館跡前の広場で儀式を行い、義景役の杉本達治知事ら3人が「冠」や「烏帽子(えぼし)」などを義昭役に次々と授けた。
義昭役で参加した一人、県立大2年の学生が代表で「大役を担えてうれしい。普段体験できないことができて成長につながったと思う」とあいさつした。訪れた歴史ファンらも堪能し、福井市の男性は「衣装なども素晴らしく、義昭に関することも学べて良かった」と話した。