新潟県佐渡市相川地区で、史跡を活用した結婚式と披露宴が行われた。新郎の原田光さん（３９）＝相川地区出身＝、新婦の梨奈さん（２６）＝佐和田地区出身＝が、まちづくり団体「相川車座」と、島内でブライダル事業を手がける「メレパレカイコ」と協力して企画。挙式を佐渡奉行所跡、披露宴を北沢浮遊選鉱場跡で行う初の試みに、２００人近い住民らが参加し、２人の門出を祝った。

　光さんは相川車座のメンバーであり、地元でスポーツバーを営んでいる。これまでお世話になった住民らに感謝を伝え、地元を盛り上げるため、相川地区で結婚式を挙げたいと考えた。バーの常連だった梨奈さんも快諾。車座メンバーとメレパレカイコのウエディングプランナー、池倫子さん（４８）に相談した。

　史跡を選んだのは、「ただ見るだけでなく、さまざまな活用方法があると思ったから」と光さんは言う。相川車座を通じて、それぞれの史跡を管理する市や企業に許可を取り、モニター企画として挙式と披露宴の開催が実現。１５日に執り行われた。

　挙式は奉行所跡の大広間を使い、人前式で挙行。光さんは紋付き袴、梨奈さんは「まち娘」をイメージした着物に身を包み、佐渡おけさの生演奏で入退場するなど、地元愛に満ちた雰囲気で進んだ。

　北沢浮遊選鉱場跡での披露宴には１００人以上の招待客が来場。地元飲食店が出店し飲み物や食事を提供するスタイルで飛び込みの観光客も受け入れ、合わせて２００人近い参加者となった。２人はタキシードとウエディングドレスに衣装替えし、梨奈さんの父（６５）が作った、佐和田万燈まつりをイメージしたタイの山車と一緒に登場。披露宴は夕方まで続き、余興の歌や芸能が史跡に響いた。

　梨奈さんは「たくさんの人に見守られ、最高の気持ち。本当によかった」とにっこり。光さんは「これからもお世話になる方々に助けられ、改めて感謝の気持ちでいっぱい。歴史に残る一日になった」とかみしめるように語った。

　プランニングした池さんは「地元が好きな２人ならではの、みんなでつくる結婚式になったと思う。『こんなことしてみたい』という相談に乗りたいし、佐渡だからできることを、これからも提案していきたい」と話した。