国重要無形民俗文化財「鵜祭(うまつり)」は16日未明、羽咋市の気多大社で、新年の吉凶を占う主役の鵜様(うさま)が不在のまま行われた。鵜を捕獲できなかったのは、約80年ぶりの出来事となった一昨年以来で、参拝者からは寂しがる声が聞こえた。
祭りは午前3時、鵜の入っていない空のかごが置かれた拝殿で始まった。本来は鵜様を七尾から運ぶ役目の鵜捕部(うとりべ)3人が、かごの前に座り、松尾孝夫宮司が祝詞を奏上した。祝詞では、鵜を捕獲する鵜捕(うとり)主任が連日努力したことが報告され、来年は速やかに捕まえられるよう祈りが込められた。
例年は1対のろうそくを残して消灯し、神前に放たれた鵜の動きを見て新年の吉凶を占うが、今回は明かりがつけられたままで、報道陣の照明やカメラのフラッシュが光る中、神事は粛々と進められた。参拝した市内の85歳男性は「占いが毎年の楽しみやけど、また捕まらなかったのは残念。仕方ない」と話した。