■本格工事は4月以降
高岡市伏木古国府の国登録有形文化財、市伏木気象資料館(旧伏木測候所)の望楼復元に向けた建物の事前調査を踏まえ、1日から補強修理が始まる。3月末まで続けられ、望楼復元は4月以降に始まる予定。施工は、職藝(しょくげい)学院(富山市東黒牧)の建築職藝科大工コースの2年生と高岡市守山町の工務店「松匠」(若松聡代表)が務める。(高岡支社編集部・瀬戸もえぎ)
伏木測候所は1883年(明治16)年、地元の回船問屋を営む藤井能三が設立した日本初の民間測候所。船の安全航行を願って、有志と協力して開設した。1909年(同42)年に現在地で移転新築。98年に無人化されたが、今でも機械で気象データを自動観測している。2005年から気象資料館として公開し、06年に国登録有形文化財に指定された。
復元事業が行われる望楼は、同館の隣に測風塔ができた1938年ごろ取り壊された。昔の写真や屋根裏の痕跡などを基に復元する。同館の土台や1階部分の修復は、原則これまで使われていた材木をそのまま活用するが、望楼の部材は現存していないため、同学院で新たに加工する。
調査作業は1月22日から行われ、外壁や同館1階の展示室などの床板を剥がし、建物の土台で傷んでいる部分が無いかを確認。施工を行う2年生は実習の一環で参加し、若松代表の指導を受けながら、床板の釘(くぎ)を取り除き、丁寧に解体を進めてきた。
同学院の佐藤博准教授は、古材を生かした修復は人の手でしかできないとし「生徒にとって貴重な経験。後世の人に見られても恥ずかしくないような修復をしたい」と話した。