夏の保存食として藩政期から伝わるブリの干物、イナダの天日干し作業が金沢市内で最盛期を迎えている。
干物製造などを手掛ける「味の十字屋」=金沢市利(とぎ)屋(や)町=では、例年並みのブリ500本を仕入れ、6月いっぱい天日干し作業を続けて約千枚のイナダを仕上げる。
昨年は主な材料である九州産ブリの不漁と、熊本地震に伴う輸送の遅れで、生産量が例年の5分の1に落ち込んだ。中田安之会長は「今年は注文に応えられる」と話した。
イナダは加賀藩3代藩主前田利常が保存食として作らせ、参勤交代の際に持参したと伝えられている。