首都圏在住の金沢市出身者らが集う「TOKYO金澤CLUB」は23日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで開かれ、過去最多の約280人が金沢の文化、伝統に対する誇りを胸に、広く魅力を発信していく決意を新たにした。加賀藩の縁で金沢市と交流を深めている東京都板橋区と目黒区の紹介ブースが初めて設けられ、出席者は「金沢の応援団」として絆を深めた。
開会のあいさつで、前田家18代当主の前田利祐(としやす)名誉会長は12回目を迎えたTOKYO金澤CLUBの歩みを振り返り、「ますます石川、金沢が発展することを祈念している」と述べた。
顧問の山野之義金沢市長は、加賀藩の下屋敷が置かれた縁で市と友好都市協定を結んでいる板橋区と、国重要文化財「旧前田家本邸」の所在地で昨年10月に同協定を締結した目黒区に触れ、「さまざまな場面で交流を活発にしていきたい」と意欲を語った。
北國新聞社の飛田秀一会長の発声で乾杯した。
テーブルには、石川県産の野菜や魚を使った料理のほか、ドジョウのかば焼き、ごりの佃煮(つくだに)、地酒などが並び、参加者は懐かしい味に舌鼓を打ちながら、ふるさと談義に花を咲かせた。
協賛各社の品が当たる抽選会も開かれた。
板橋区、目黒区のブースでは、それぞれ区内に残る加賀藩ゆかりの史跡や観光名所が紹介され、区職員らが来訪を呼び掛けた。
初めて参加した飲食店経営の小嶋崇之さん(31)=東京都渋谷区=は「幅広い層の人々が集う場所に参加できてうれしい。知り合った若手でふるさとを盛り上げていきたい」と話した。
今回のTOKYO金澤CLUBは、日本文学の語り手として活躍する平野啓子さんによる情感豊かな語りで幕を開けた。
平野さんは加賀市出身の作家、子母澤類さんと共著「語り文化を世界へ」(時鐘舎)を出版している。舞台では子母澤さんの短編小説「貴船菊」を披露し、金沢の情景と悲恋に身をやつした女性を描き出して参加者を幻想の世界に誘った。