福井県指定無形民俗文化財で、奥越に春を呼ぶ奇祭として知られる「勝山左義長まつり」は2月28日、新型コロナウイルス対策で神事のみに縮小し、勝山市下高島の九頭竜川河川敷弁天緑地で行われた。神事の一つである「どんど焼き」も簡素化して実施。同まつり実行委員会などの関係者約40人が参加し、炎を前に「来年こそ本来の姿でまつりを」とコロナ禍の収束などを願った。
どんど焼きは例年、まつりのフィナーレを飾るイベントとして14体のご神体(松飾り)を夜に燃やしているが、今回は1体のみにして日中に行った。
コロナ禍収束や五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する祝詞が読み上げられた後、高さ約6メートルのご神体と、市内各家庭から持ち寄った正月飾りを入れたわらの山二つを燃やした。道行く市民も足を止め、その様子を静かに見守っていた。
実行委の委員長は「伝統行事は1年、2年と休むと、伝承が厳しくなる。来年こそはいろんな対策をして実行できるよう、これから関係者で考えていきたい」と誓っていた。
勝山左義長まつりは300年以上の歴史があるとされ、例年2月の最終土、日曜に行われる。今年は市内中心部の各区での浮き太鼓の披露や「作り物」「子どもばやし」など関連のコンクールは中止した。