第77回現代美術展加賀展(一般財団法人県美術文化協会、北國新聞社、加賀市など主催)は24日、市美術館で始まった。県内巡回展のトップを切る加賀展は2年ぶりの開催となり、大勢の愛好家が県内最高水準の美を間近で堪能した。
日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の6部門に地元作家の68点を含む132点が並んだ。美術文化大賞に輝いた小原瑛子さん(金沢市)の洋画「彼女にのこせるだろうか」をはじめ、委嘱作、一般公募の入賞作が来場者の関心を集めた。
現代美術展に毎回足を運ぶという滝川久江さん(80)=加賀市動橋町=は「今年もぜひ見に行きたいと思っていた。地元作家や友人の作品が出展されており、頑張っている姿に元気をもらえる」と笑顔をみせた。
趣味で水墨画を描く西出忍さん(71)=同市水田丸町=は「人それぞれ、個性豊かな作品があふれている。コロナで東京、大阪の展覧会に行けないなか、地元でこんなに素晴らしい展示会があるのはうれしい」と話した。
初日は小原さんも来場し、美術文化大賞の作品を前に「少女の訴えかけるような表情を表現するため、線の0・5ミリのずれにもこだわった。今の世の不安を感じ取ってほしい」と語った。
長谷川清館長は2年ぶりの開催に「再び加賀で開けたことに感謝しかない。多くの美術ファンから待ち望む声を聞いていた。地元作家にとって励みになる」と喜んだ。
会場は検温、消毒など新型コロナの感染防止対策を徹底した。会期は5月5日までで、入場料は一般400円、75歳以上200円、団体300円、高校生以下と障害者は無料となる。