昨年から工事で水の流れが止まっていた金沢駅前にある「せせらぎ水路」の水が戻り、金沢市が放流していた金魚が8カ月ぶりに泳ぐ姿を住民らに見せている。工事中の水路は水が引いて枯れ葉がたまり、金魚のすめない環境だったが、水がたまった部分に避難して過ごしていたとみられる。体長15センチほどの赤と黒の金魚は、暗闇での巣ごもりを経て、太陽の下で優雅に泳いでいる。
せせらぎ水路は、金沢駅東口側から近江町市場方面に向かう県道の歩道脇に設置されている。辰巳用水を本流とし、下堤町付近から枝分かれして駅前を経由して浅野川までつながる。金魚は15年ほど前に、市が景観づくりの一環で放流し、観光客らが泳ぐ姿を楽しんでいた。
辰巳用水は昨年10月から、上流の小立野付近で無電柱化の工事で水の流れが止まり、下流のせせらぎ水路にも水が届かなくなった。水路は水が引き、秋には枯れ葉、冬には雪が積もり、金魚の姿は見られなくなった。
今年6月、工事が終わり、水が再び流れ始めると、姿を消していた金魚がどこからともなく現れ、優雅に泳ぎ始めた。
市道路管理課によると、水路には車道に隠れた地下の部分があり、そこにたまっていた水の中で、金魚は工事中も生活していたとみられる。
同課の担当者は「金魚が戻ってきてよかった。歩きながら愛らしい姿を楽しんでほしい」と話した。