加賀市山中温泉で4年前に架け替えられた先代の「こおろぎ橋」が、登山者の休憩用ベンチに生まれ変わった。市内の登山愛好者団体が橋の廃材を活用して製作、加賀、小松両市にまたがる鞍掛山(標高477・7メートル)の加賀市側の山頂など3カ所に設置した。多くの人に座ってもらい、山中温泉の見どころの一つである木造橋の魅力の発信につなげる。
こおろぎ橋は景勝地「鶴仙渓」に架かる総ヒノキの橋で、文人墨客も湯上がりに散策した。生活道路にもなっており、老朽化が進んだため2019年10月に架け替えられた。
登山愛好者でつくる「加賀市鞍掛山を愛する会」が深田久弥山の文化館(同市大聖寺番場町)から先代の橋の廃材を譲り受け、メンバーがベンチを手作りした。
ベンチは長さ約130センチ、奥行きと高さがそれぞれ約40センチで、計4台作った。加賀市側の山頂広場に2台、登山道沿いの「展望岩」「あせび台」に各1台置いた。
愛する会によると、鞍掛山は山頂まで登ると白山や日本海が望め、登山道では四季折々の山野草も観賞できることから、訪れる人は多い。小松市側にベンチがある一方、加賀市側の山頂や登山道には足を休めるためのベンチがなく、登山客から設置を求める声が寄せられていたという。
愛する会では、メンバーの井尻茂勝さん(81)=分校町=らが中心となって約20年前から加賀市側の登山道の整備などを進めてきた。会長の中村亮作さん(64)=塔尾町=は「多くの人に親しまれたこおろぎ橋に思いをはせながら、ベンチに座って体を休めてほしい」と話した。