伝統の刀鍛冶技術を使い、人気アニメを素材にデザインした作品を披露する「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」が28日、福井市立郷土歴史博物館で開幕する。アニメ作品に登場する武器や、キャラクターをモチーフにした刀剣など約30点を展示。日本刀の常識を打ち破る斬新なデザインの作品となっている。5月10日まで。
27日、報道関係者らに公開された。作品は刀鍛冶職人でつくる全日本刀匠会が制作。2012年から全国で巡回展を開いている。
同会によると、日本刀が実用品でなくなってから久しく、需要は頭打ちとなっている。伝統技法を守るため、現代にあるべき刀の姿を模索しようと、アニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」とのコラボを発案。4年ほど前、同会員と金工師、さや師ら若手職人約60人が集まり制作した。
銃刀法により、従来の日本刀の形状から逸脱したデザインの刀身は作れないが、できるだけアニメに登場する武器に近づけるよう苦心した。平面の絵を現実の立体物にするのも容易ではなく、苦労の連続だったという。
またアニメのキャラクターをイメージした作品では、稲妻と波、女性の柔らかさなどを刃文、さやのデザインなどで表現している。
「刀野薙(なたやなぎ」と名付けられた作品は、今企画の集大成といえる力作。アニメにもない、日本刀としての新しい形を目指し制作した。刃渡り70センチの刀身にライフルのような柄(つか)が付き、強烈な存在感を醸し出している。
このほか平安時代から幕末までの6振りの刀も展示。日本刀の変遷を解説している。
同会は「従来、使わなかった材料を多用している。2次元をどう3次元に置き換えたか見てほしい」と話していた。