新開発されたブランドポーク「黒龍吟醸豚」の生肉や加工品=福井市の「ふくい鮮いちば」の生商直売店TSUTOYA

新開発されたブランドポーク「黒龍吟醸豚」の生肉や加工品=福井市の「ふくい鮮いちば」の生商直売店TSUTOYA

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酒かす入り飼料で飼育 「黒龍吟醸豚」を開発、肉質軟らか

福井新聞(2015年5月14日)

 食品と食品包装資材販売の生商(本社福井市大和田1丁目、野村明社長)は、県内の酒蔵、畜産農家、食肉加工卸販売会社と共同で、酒かす入りの飼料で育てたブランドポーク「黒龍吟醸豚」を開発した。軟らかな肉質と脂身の上品なうまみが特長。まずは首都圏の高級レストランなどへ浸透を図り、ブランド力を高めていく。

 黒龍吟醸豚は飼育中の一時期、黒龍酒造(永平寺町)の純米吟醸酒の酒かすを混ぜた飼料を使う。豚を「ほろ酔い」にすることで、肉を硬くする原因となるストレスを和らげるのが狙い。

 養豚は杉本畜産(あわら市)が行い、食肉処理場で成形された肉をカワグチ(福井市)の施設で保管する。生商は酒かすの買い取りと環境管理から市場開拓や販売まで全体をコーディネートする。

 昨年11月に商品化し、東京都内のレストランなどに生肉を販売。福井市中央卸売市場内の「ふくい鮮いちば」にある生商の直売店TSUTOYAでも生肉のほか、酒かす漬けソーセージ、みそ漬けロースステーキといった加工品を取り扱っている。

 10年前、野村社長が黒龍酒造から酒かす活用の相談を受けたのをきっかけに、新たな商品開発を構想。漬物加工や、単なる味付けに使うのでは「インパクトに欠ける」と、肉に狙いを定めた。牛は酒かすの食いつきが悪く、たどり着いたのが豚だった。

 酒かすは酒が搾られる11~4月にしか入手できないが、低温貯蔵することで長期間の鮮度維持に成功した。肉質の良い豚を目指し、配合飼料に加える酒かすの比率や酒かすを与える時期、期間などを県畜産試験場の協力も得て試行してきた。

 豚の出荷数は今のところ週3~6頭にとどまるが、今後、週20~24頭まで増やしていきたい考え。本年度は2500万円の売り上げを目標としている。

 野村社長は2017年4月の消費税率10%への引き上げなどを見据え、「食品は徹底してコスト削減した低価格商品と、高くても食べたいと思われる高付加価値商品に二極化される」と分析。黒龍吟醸豚の認知度を高め、いち早くブランドポークとして地位を確立するには「首都圏での販売が有効」と指摘する。

 一方、腕肉やもも肉を使ったコロッケ、ギョーザなどの商品開発にも取り組んで「将来的には学校給食にも提供し、地産地消に貢献したい」と話している。

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