旧小杉町出身の日本画家、郷倉千靱(せんじん)の作品を集めた企画展が、16日から射水市鏡宮の市新湊博物館で始まる。長く行方が分からなかった「密林を行く玄奘(げんじょう)法師」や遺作「レダと白鳥」といった大作が一堂に会する。11月23日まで。
千靱は富山県立工芸高校(現高岡工芸高校)から東京美術学校(現東京芸術大)に進み、日本美術院展覧会を中心に活躍。自然への親愛の情や仏教に対する崇敬の念などを、確かな写実性と豊かな色彩で表現した。
「密林を行く玄奘法師」は1969年の院展に出品後、個人所蔵となって行方が分からなくなっていたが、ことしに入り射水市内の個人が所蔵していることが判明した。「レダと白鳥」はギリシャ神話を題材にし新たな作風の展開を感じさせるが、最後の作品となった。これらの作品をはじめとした大作計22点が会場に並ぶ。企画した同博物館の加治徹学芸員は「射水が誇る千靱の初期から晩年の逸品を楽しんでほしい」と話している。