高さ14メートル、周囲40メートルもある大岩が高浜町宮崎の山中で見つかり、話題となっている。近くの佐伎治(さきち)神社には言い伝えが残っているが、宮司や氏子らで見た人はなく、たまたま工事関係者が発見。氏子総代らが2カ月かけて大岩までの道を整備し、一般の人でも見られるようにした。氏子らは「パワースポットのような場所として、多くの人に親しまれれば」と話している。
同神社の創建は約1800年前とされる。大岩は、本殿の裏の小山を約120メートル登ったところにある。
昨年、本殿と大岩の間にある砂防ダムにたまった土砂の測量に来た業者が大岩を見つけた。業者は立派な岩に感動し、「多くの人に見てもらった方が良い」と同神社の赤坂康夫宮司(63)に勧めた。
赤坂宮司は「昔から大岩があることは、先代の宮司らから聞いていた。山林の地名自体が大岩とも伝えられていた」と話すが、見たことはなかったという。
氏子総代の冨田洋助さん(72)ら8人の氏子が、8~9月に大岩への案内看板や手すりとなるロープを取り付けるなどして、道を整備。冨田会長は「余りに大きくて、しめ縄を付けるときは命懸けだった」と笑いながら振り返った。
赤坂宮司がおはらいし、「神宿る岩」と名付けられた大岩は、神社の例大祭があった10月12日から一般にも公開され、町民らがコケに覆われて青々とした巨大な岩に目を奪われている。
町史によると、神社の南側118メートルの山上には、若狭の守護武田信親の家臣逸見越中守貞長が、永正(1504~30)年間に砕導(さいち)山城を築いたとしている。町史には同城址を表す地図も掲載してあり、神社の南に大岩、さらに南に本丸や滝が示されている。
赤坂宮司は「城があったころから信仰の対象だったのかもしれない。声を掛けてもらったら、大岩まで案内します」と話している。