「農カフェ わのん」で料理を出す堀江さん(左奥)。古い民家を生かした店内で長時間くつろぐ人も多い

「農カフェ わのん」で料理を出す堀江さん(左奥)。古い民家を生かした店内で長時間くつろぐ人も多い

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「辺ぴ」が魅力、山里に出店相次ぐ 小諸・浅間山麓

信濃毎日新聞(2016年12月27日)

 小諸市の浅間山麓にある集落で、古民家を活用して飲食店や物販店を開く移住者が近年相次いでいる。流行から距離を置き、昔ながらの暮らしや物の魅力を表現しているのが共通点。市街地や幹線道路から離れ、集客には一見不利だが、それゆえのゆったりとした雰囲気が店の個性にマッチしている。

 市北東部の西八満集落にある「農(のう)カフェ わのん」は、農業も営む堀江知子さん(34)=群馬県長野原町出身=が4月、築約150年の民家を改修して開いた。かつて約5年過ごした東京の慌ただしさが合わず、自分のペースで自給自足しようと小諸に移住。自ら栽培した玄米や野菜を使った料理を出し、農作業やみそ造りの体験講座も開く。

 店に至る道は幅3メートルほど。他の民家や畑に囲まれ目立たない。だが「昔ながらの暮らしを体験できる場所を目指している。『おばあちゃんの家』のようなこの環境がぴったり」と堀江さん。講座には東京からも参加者がいるという。

 市北部の菱野集落の外れで、一昨年から雑貨と古道具の店「山岳マルシェ」を営む真下(ましも)みどりさん(36)は「流行の物より、古い味のある物が好き」と話す。群馬県高崎市での会社勤めを経て2009年に県内に移住。縁側のある民家を生かした店は集落を一望できる景観が自慢で、「少し辺ぴな場所でも、共感する人はネットでの発信に反応して来てくれる」と話す。

 「『隠れ家』を見つける楽しみも、こういう場所にはあると思う」とするのは、細い道が入り組む市西部の諸集落に昨年夏、レストラン「KAJI House(カジハウス)」をオープンした梶谷正治さん(60)と長尾三樹さん(54)だ。

 「推定築100年」で養蚕をしていた民家を借り、納屋を改装。ご飯は民家に元からあったかまどで炊く。野菜を譲り合うような近所付き合いにもなじみ、梶谷さんは「こういう集落はどこも過疎化が進んでいるけれど、先人たちの豊かさを再発見できた。集落に新しい人を呼び込む力になれるといい」と感じている。

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