江戸時代の婚礼料理の試食会が27日、安曇野市豊科の「勇屋(いさみや)会館」であった。市内外の20人が山海の幸をふんだんに使った料理を味わい、約200年前に思いを巡らせた。
同市三郷温の庄屋だった務台家に伝わる1822(文政5)年の「献立書抜帳」を基に再現した。カジカの甘口煮、タイの刺し身、長芋やニンジンの煮物、赤飯など14品が古式通りに配膳され、主催した市豊科郷土博物館の宮本尚子学芸員(45)が1品ずつ解説。タイの刺し身を例に、「江戸時代末期、夕方に日本海で揚がった魚が翌朝には安曇野に着いたという記録がある」などと紹介した。
1966(昭和41)年に結婚式を挙げたという市内の滝沢隆子さん(71)は、夫の正伸さん(81)と参加。エビの酒蒸しを見て、「腰が曲がっても一緒にいる―との縁起物として私たちの式でも食べた。どの料理も味がまろやかでおいしい」と喜んでいた。
試食会は博物館で開催中の昔の結婚式や披露宴を紹介する企画展(8月20日まで)に合わせて開催。7月6、15日にも開く。参加費5千円。問い合わせは博物館(電話0263・72・5672)へ。