展示作品を解説する加藤邦彦さん(中央)と温子さん(中央左)

展示作品を解説する加藤邦彦さん(中央)と温子さん(中央左)

長野県 伊那路 祭り・催し

独から伊那に移住、節目の作品展 彫刻家と画家の加藤夫妻

信濃毎日新聞(2018年10月27日)

 ともに愛知県出身で長年ドイツで創作活動を続け、昨年伊那市美篶に移住した彫刻家加藤邦彦さん(73)、画家温子さん(68)夫妻の作品展が27日から、同市の信州高遠美術館で開かれる。「移住帰国展」と銘打ち、木彫や石彫、油彩や石版画など2人がドイツで手掛けた計124点を展示。同美術館で26日、開幕式典があり、訪れた約50人を前に創作への思いを語った。

 愛知県立芸術大在学中に出会った2人は1976(昭和51)年に結婚し、ドイツへ。80年代以降は同国やスペイン、フランスなどで個展を開催。2014年には依頼を受けて信州高遠美術館で展覧会を開いた。近年、2人とも体調を崩すこともあり、「伊那での作品展の際に見た美しい自然に囲まれて創作したいと思っていた」と温子さん。昨年11月、伊那市に移住した。

 邦彦さんは、花こう岩やニレなどの素材に、深海の軟体生物や木の葉などをモチーフに表現した「生き物シリーズ」などを展示。温子さんは友人からイチョウの鉢植えをプレゼントされたのを機に創作を始めた「銀杏(いちょう)作品シリーズ」などを紹介している。

 邦彦さんは式典で「木や石にある『冷たい』イメージを壊すべく、『温かさ』や『家族らしさ』をイメージに作品を造っている」と説明。温子さんは、長崎と広島への原爆投下を題材にした作品を紹介し「私の中で平和への祈りが大きなテーマ」と語った。

 2人は「作品を自由な気持ちで見て、何かを感じてもらえればうれしい」と話している。12月2日までの午前9時〜午後5時(火曜と11月5、26日は休館)。高校生以上500円、小中学生150円。

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