別荘だった空き家を改修してオープンした宿泊施設「ほしな屋」と北沢さん

別荘だった空き家を改修してオープンした宿泊施設「ほしな屋」と北沢さん

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「便利な田舎」に貸し切り宿 長野・若穂保科の空き家改修

信濃毎日新聞(2018年12月26日)

 長野市若穂保科のカフェ「ねこぽぽテラス」が、別荘として使われていた近くの空き家を改修し、1棟貸し切りの宿泊施設「ほしな屋」を開いた。中山間地にある保科では人口減少などが課題となっており、人を呼び込めないか―と、地元出身で同店を営む北沢翼さん(38)が考えた。交流人口を増やし、地域が盛り上がるきっかけにしたいと意気込んでいる。

 北沢さんは高校を卒業後、インドネシアや京都の大学へ。卒業後は、長野市街地などでグラフィックデザイナーとして働いた。8年前に父親を亡くし、空き家になった実家をデザイン事務所として使おうと、地元に戻った。

 保科を離れていた10年ほどの間に、約60人いた地元の保科小学校の同級生たちも、多くは首都圏や長野市街地に移り住み、残っていたのは2、3人ほど。空き家が増え、保科小の児童も減り、以前と比べ「寂しい雰囲気になった」と感じたという。

 北沢さんによると、保科は長野市の中心市街地から車で20分ほどとアクセスが良く、「便利な田舎」。サルスベリの丘や、ボタンや紅葉で知られる清水寺などの名所もある。一方で宿泊施設が少なく、訪れる人も日帰りが多い。観光客に加え、移住を考える人にとっても、地域の雰囲気や魅力を知ってもらうには長く滞在することが必要と感じ、宿泊施設を開くことにした。

 改修した建物は築約50年の木造平屋で約40平方メートル。以前の持ち主は別荘として使っていたが、長く空き家になっていた。建物の良さを生かそうと、自ら古材で机や椅子を作ったり、壁や天井をしっくいで塗り直したり。バーベキューなどが楽しめるウッドデッキも設けた。シャワーやトイレ、台所などは業者に頼んで整えた。27日に初めての客を迎える。

 カフェは2010年、実家に加え、隣接する公民館だった建物を借り、同様に手を掛けてオープン。ピザが売りで、地区外からも保科に多くの人を呼び込んでいる。北沢さんは、地域に空き家を改修した宿泊施設などが増え、保科全体で客を受け入れる構想も思い描く。「地元の人にも空き家の使い道があることを知ってもらい、保科全体が活気づいていくといい」と話している。

 ほしな屋は4人までの利用を想定し、1棟を1泊1万円で貸す。予約や問い合わせは、ねこぽぽテラス(電話026・285・0282)へ。

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