三俣山荘が夕食時に提供する鹿肉入りシチュー(手前)

三俣山荘が夕食時に提供する鹿肉入りシチュー(手前)

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南アで駆除の鹿肉シチュー 北ア・三俣山荘の夕食に

信濃毎日新聞(2019年8月23日)

 長野・富山県境の北アルプス最深部にある三俣山荘が、南アルプス山麓などで駆除された鹿肉の入ったシチューを夕食時に提供している。同山荘主人の伊藤圭さん(42)=安曇野市=が、ニホンジカによる高山植物の食害問題に関心を持ってほしいと5年前に開始。歩き疲れた宿泊客たちの空腹を満たしている。

 「南アルプスで駆除された鹿のお肉を使っています」。同山荘の食堂で8月上旬、従業員が夕食メニューを紹介した。宿泊客たちは珍しそうに見つめ、次々と口の中へ。千葉県市原市から訪れた病院職員、岡本美紀さん(49)は「山でこんなにおいしいジビエ料理が食べられるなんてうれしい」と喜んだ。

 県内では南アや八ケ岳などで、ニホンジカによる高山植物の食害が問題化。北ア上高地でもニホンジカの侵入が確認されている。こうした課題に目を向けてほしいと、山荘では上伊那郡宮田村の精肉加工施設から仕入れた鹿肉を活用。麓で調理してパック詰めし、ヘリで輸送している。

 ランチ営業では「ジビエもみじ丼」(1100円)を提供し、お土産用に鹿肉のしぐれ煮(700円)も販売している。

 山荘周辺の高山植物保護に取り組む伊藤さんは「北アで食害を出さないためにも、駆除された鹿を有効活用し、問題を登山者と一緒に考えたい」と話している。

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