富山市下堀の渡辺司さん(77)が、自身5冊目の画集「おらっちゃのまち 富山を描く」を自費出版した。水彩や油彩、和紙ちぎり絵、木版画などさまざまな技法で、県内の風景を表した94点を収録している。「今見ている風景はいずれ変わる。各地を訪れて触れた色、風、香り、音を残しておきたいと思った」と語る。
渡辺さんは幼い頃から創作するのが好きで、日本画や木版画など幅広いジャンルに取り組んできた。これまで富山市内の風景をテーマに画集4冊を自費出版している。
今作には県内全域を訪ねて描きためた作品を収めた。剱岳やヒスイ海岸、瑞龍寺、散居村など各地の名所を題材にした近作がそろう。「黒部川」は、しぶきを上げる激流を和紙ちぎり絵で立体的に表し、高岡市福岡地域の「雅楽の館」は淡い色彩で歴史を感じさせる建物を丹念に捉えた。
渡辺さんは「豊かな自然が四季折々の表情を見せる富山は題材に事欠かない。古里の魅力の再発見につながればいい」と語った。
画集は2160円。県内の書店で販売している。8月から11月にかけて各地で原画展を開く。